子宮内膜症
子宮内膜症は、子宮の外に内膜ができる病態で、毎月の月経により内膜は剥がれますが、子宮の外に出来た内膜は月経で体外に排出されずに体内にとどまり、鎮痛剤では効かないような激痛、引っ張られるような癒着痛を起こすことがあります。
発病の原因は諸説いわれていますが、まだはっきりと解明されていません。
<子宮内膜症の発病…当店の考え方>
身体を十分に温められて、必要な栄養も十分に摂れて気力ある人は、病気に対する抵抗力が強く、子宮内膜症を含めほかの慢性病にはなりにくいと考えます。
もともとの体質が虚弱、または、身体の抵抗力を高める身体の熱量の不足がある人(低体温・冷え性・疲れやすい)が、身体を冷やす鎮痛剤の服用機会が多かったり、冷たい飲み物を飲んだり十分な休息をとれない状況や、精神的な負担などから、身体をさらに傷つけ、女性の生理に影響して、子宮内ではなく、子宮の外に内膜ができるようになった。
<症例>
35歳女性 155cm 43kg
- 発症:
- 1年前 ※病院より処方の女性ホルモン剤服用を中止とともに再発
- 主訴:
- 激しい月経痛
- 随伴症状:
- 疲れやすく頭痛が起きやすい 冷え性
- 性格:
- 不安感あり 落ち着かない
- 憎悪因子:
- 不明
- ○判断
- 日焼けでないのに顔がやや黒味を帯び、舌が細く、色が淡白色、朝からの仕事で午後からひどく疲れることなどから、素体が気血両虚の虚弱体質であった。
正気不足で病邪を受けやすいところに、発症する数年前から頭痛時に鎮痛薬を飲むことが多く、仕事仲間との飲み会で冷たいビールを飲む機会もあって胃寒となり、肝経を通じて子宮に寒邪が久しく影響を及ぼし、寒凝瘀血の状態 - ○治法
- 暖肝散寒 気血双補 理気活血(併破血)
- ○方剤
- 辛苦・燥熱の呉茱萸で温肝開鬱・通滞により痛みを止め、補気健脾の白朮、茯苓、甘草に黄耆を加味して補気を強め、当帰、地黄で補血しながら、理気活血の烏薬、川芎、香附子、牡丹皮益母草、陳皮と、破血の紅花、三稜、我朮を加える
- ○経過
- 服用1か月目で、呉茱萸の効で月経痛はかなり緩和、1年3か月服用により休薬できるまで改善
- 体質:
- 中背でやや肥満ぎみ。仕事が飲食店で接客業のため、冷たい飲み物をよくとる。以前からも生理痛はあったが、この2年は激痛(特に初日)、月経周期は遅れぎみで、生理色は黒っぽく塊がある。昼、夜とも仕事があるため、睡眠時間が少ない。最近腰痛もでてきて急に老けたとのこと。上半身はやや火照り、下腹部と下半身は冷える。顔色は全体的に白い。声は小さく動作は緩慢。
- 舌:
- 色は淡紅色で、形は胖。舌上は滑苔。
一昨年からひどい生理痛が起こるようになり、市販の痛み止めを飲んでも痛みがおさまらない。下腹部がひきつるような激しい痛みで心配になり、病院を受診したところ”子宮内膜症(ダグラス窩に内膜)”と診断された。点鼻薬で痛みから解放されたが、薬をやめると再発し、ご相談に来られました。
- ○治療
- 原因の一つ…冷たい飲み物の取り過ぎで脾陽(胃腸のはたらき)と腎陽(ここでは子宮のはたらき)を傷つけ虚寒内生(体の中に冷えを生じた)した。
原因の二つめ…過労で陽気(体を温める力と体の機能)を過度に消耗し、またさらに睡眠不足から消耗した陽気を補うことが出来ずに症状(子宮内寒)を悪化させている。冷えと陽気不足で、子宮内の血の巡りは非常に悪く、月経周期の遅れや血瘀(血塊)を作り、さらに冷えからの収縮でひきつるような激痛の生理痛がおこり、子宮内の瘀阻(凝滞血瘀)が子宮外に内膜をはる原因となった。
治療は、温補腎陽(子宮)と駆瘀血剤・破血剤が中心としました。子宮内の駆瘀血力をあげるため桂枝をさらに加味しました。 - ○方剤
- 附子理中湯合桂枝茯苓丸加三薐莪朮桂枝(人参湯合麻黄附子細辛湯合桂枝茯苓丸加三薐莪朮桂枝)
※体の陽気を傷つける(体を冷やす)ビールや刺身、生野菜は控えていただくようアドバイス
- >>服用1カ月で生理色の黒っぽさは取れたようす。生理痛は少し軽い程度。上記の方剤に加工附子を1日3g追加。
- >>服用3カ月で生理痛はほとんど無くなった。生理時の下腹部の違和感と張りが少しあり。
- >>服用4カ月で生理痛・周期・色等ほぼ完治しました。
- 体質:
- 長身・中肉。
- 生理:
- 初潮14歳。月経周期は以前は遅れ気味だったが、この1・2年は25日~28日周期。月経量は多い。色は初日~2日目が黒っぽく塊があり、後半は淡紅色になる。生理痛は無し。
- 舌:
- 色は淡紅。形は胖。白苔、舌上は潤。
左の卵巣がチョコレート膿胞と診断されて、昨年5月に左卵巣を摘出。今年の1年検診で右の卵巣もチョコレート膿胞(1年間で直径6.6cmの膿胞になっていた)と診断された。手術(摘出)をドクターから勧められたが、手術したくないとのことで当薬局に相談された。
蕁麻疹(淡紅色)が、手と足に夜間から朝方にかけて出来ることあり。夏の冷房は嫌いだが、冷たい物はガブガブ飲み、アイスクリームも大好き。下腹部が非常に冷たく、よくお腹がゴロゴロ鳴く(腹鳴)。顔や全体感の判断では、ゆううつ感はなし。
- ○治療
- 冷たい物を非常に取り過ぎることにより、脾陽と腎陽を傷つけ、虚寒内生(体の中の冷え)が子宮に影響した。冷えと傷ついた陽気のため、子宮内の血の巡りが悪くなり、血瘀(血塊や黒っぽい生理色)を作り、子宮内の瘀阻(凝滞血瘀)のため、子宮外の卵巣に内膜をはる原因となった。
治療は温補腎陽(子宮・卵巣)と駆血瘀剤・破血剤が中心となる。子宮・卵巣の駆瘀血力を上げるため、桂枝をさらに加味。 - ○方剤
- 桂枝加附子湯合桂枝茯苓丸加三薐莪朮(麻黄附子細辛湯合桂枝茯苓丸加三薐莪朮桂枝加工附子)
※同時に体の陽気を傷つける(体を冷やす)刺身・生野菜・果物・アイスクリーム等…控えていただく
- >>効果については、自覚症状が特にないので、3カ月後に再検査(膿胞の大きさ)を計測して判定することとした。
- >>服用3カ月の再検査結果で膿胞の大きさは直径1.7~2.1cmまで小さくなっていました。ドクターも手術せず様子を見ようということになりました。
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